オナラはなぜ出る? 無臭と臭いおならの違いと原因
おそらくは、誰もが必ず出しているであろう「おなら」。
人間でも動物でも、生きているからこその生理現象です。
しないわけにもいかない、というよりも「出てしまう」ものなのですが、
「臭いがクサ過ぎる」なら、なにか問題が隠れていることもあります。
普段はほぼ無臭なのに、ときたま、耐えられないほどの臭いおならが出てしまう。
そんな覚えはありませんか。
もしかすると、それは何かの病気の症状という可能性もあります。
たかがオナラだとは思わないで、十分に気をつけなければいけません。
ついつい排出してしまうオナラをひとことで言い表すとするなら「ニオイのついた空気」です。 オナラとは、いったいどういった存在なのでしょう。 プッと発生するおならは、どうお腹の中で作られるのでしょうか。
おならの正体は、お腹の中に溜まっていた「ガス」です。 密閉された腸内です。どこから生まれるの不思議ですが、食べた食物から発生してます。 口から入った食物は、腸内で腸内細菌が分解されます。この時に発生するのがおならなのです。 おならの発生パターンには、2種類あって、発酵型・腐敗型と呼ばれてます。 どちらも「オナラ」というカテゴリに括られてますが、成り立ちが全く異なってます。
1 発酵型(ニオイの少ないタイプ)
食物中のセルローズ、炭水化物、脂肪が腸内で発酵してでるガス
特に、イモや豆を食べるとよく出る。主な成分は二酸化炭素やメタン
2 腐敗型(臭いタイプ)
消化不良の時に、タンパク質が分解する時に発生。発生量は少ないが臭いは強い
主成分は、インドール、スカトール、アンモニア、硫化水素など
腸内で発生するこのガスの割合は、オナラ全体の30パーセント程度。意外と少ないものですね。 では残る70パーセントは何かというと、口から入ってきた空気です。 おならの大部分は、食べ物と一緒に飲み込んだ空気ということ。ちょっと驚きですね。 この空気の大半は、窒素が占めています。
腸の中には、約1000ccものガスを常時抱えていると言われます。 外から入ったり内部で発生した溜まったガスが、 腸内の蠕動運動によって外へ外へと出されていくのです。
臭いおならは「腐敗型」であるといいました。 この臭いの原因となっているのは、腸内にはびこっている悪玉菌です。 腸内には善玉菌と悪玉菌が同居しています。同居といっても、仲良く共存してるのではなくて、 機会があれば自分たちの勢力を伸ばそうと互いに闘争しています。
善玉菌同士、悪玉菌同士であっても、種類が違えば互いに敵とみなしてます。 善玉・悪玉と呼んでいるのは、人間の都合であって、当人達にとっては、 菌として、生存をかけた派遣争いを繰り返しているに過ぎません。
善と悪の呼び方の違いは、その活動結果の違いです。当然ながら、 人間にとって有用な結果をもたらす菌の方を善玉と呼んでいます。
・善玉菌の働き
善玉菌は、糖分や食物繊維を発酵させることでエネルギーを得ている菌です。
種類は2つ。乳酸を作り出す菌と酪酸や酢酸を作り出す菌の2種類。
乳酸菌やビフィズス菌などは乳酸をつくる善玉菌の代表格だといえます。
善玉菌が作り出す乳酸・酪酸・酢酸は、腸内を酸性に保って、悪玉菌による腐敗の進行と繁殖を抑えます。
また、腸内を酸性化してくれるので、病原菌の感染や、細菌による下痢を予防する作用があります。
善玉菌の中には、ホルモンやビタミンを生産したり、コレステロール低減に関わるものもあります。
善玉菌がないと、腸の活動は、まったく滞ってしまうことがわかります。
・悪玉菌の動き
悪玉菌は、善玉菌とはまったく逆の行いをします。腸内をアルカリ性にして免疫機能を低下させます。
主にタンパク質をえさにして腐敗を起こし、いろいろな有害物質を作ります。
つくられる有害物質は、アンモニア、インドール、スカトール、発癌物質のフェノール、
硫化水素、アミンなど。
そうした悪玉菌が生産してくる物質は、年月をかけて少しづつ腸壁の細胞を傷つけていきます。
物質の便として排出されるのですが、その一部は腸内でも吸収されます。吸収された物質は肝臓で解毒されるんですが、その負担は小さいものではなく徐々に肝臓を弱らせていきます。 肝臓の機能が低下すれば、解毒が間に合わなくなります。 解毒ができず、有害物質が体中をめぐれば、生活習慣病(成人病)や老化を引き起こす原因になります。
悪玉菌は、たんぱく質をエサにしています。なので、タンパク質がきちんと消化されないと、 悪玉菌が元気付きます。悪玉菌が増えて優勢になると、 相対的に善玉菌が劣勢となるので、腸内環境が悪くなっていきます。 その結果として、ガスが発生しやすくなり臭いおならにつながるのです。
悪玉菌が作るインドールやスカトールはとても嫌なニオイがします。 耐えられないほど臭いオナラが出るなら、腸内で悪玉菌が優勢になっていると考えられます。
ガスが多くたまるのは、食べている食物の種類にも原因がありますが、 病気を患っている可能性も十分に考えられます。 よくあるのは、胃腸になにかしらの異常がある場合。 腸炎や慢性胃炎、直腸に潰瘍がある場合などにはガスが多くなります。 胆嚢や膵臓、肝臓の病気、尿路結石では、おならが頻繁なるようです。
腸内に便が留まる時間が長いほど、悪玉菌が増える傾向があります。便秘もニオイの原因になるのです。
「牛乳不耐症」といって、胃腸が牛乳に弱い人がいます。 病気とはいえませんが、 こうした人が牛乳を飲むと、お腹がゴロゴロしてガスが溜まりやすくなります。
臭いおならが続いている場合に、病気の症状・予兆として考えられるのは、やはり大腸ガンでしょう。 悪玉菌によって発生する臭いおならの元になっているガスには、硫化水素やインドール、 スカトールやアミンといった体にとって害を与える成分が多く含んでいます。 それらが原因で大腸がんになってしまうのです。
「卵の腐ったような臭いがする」おならが日常的という方は、 大腸がんのリスクも非常に高くなります。
出産や病気などがきっかけでオナラガ臭くなることがあります。腸内の排泄が滞り便秘がちになるのです。 妊娠中は腸が圧迫されるために便秘になりやすいようです。ホルモンバランスが変わることも影響しているようです。
誰でも人前でわざわざおならをする人はいません。よほどの親しい間柄でない限り排出をためらってしまいます。
ついつち我慢してしまうのですが、これは身体の毒になります。
おならとして体外に排出されるはずだった悪い成分は、外に出ないで血液中に溶けこんでしまいます。
体に良いことはありません。
状況が許す限り、おならは、できるだけ我慢しない方がよいでしょう。
オナラの臭いを無臭に改善するには、腸内の菌の割合を善玉優勢にします。
基本となるのは、健康的な生活リズム。バランスの良い食事はもちろん、十分な睡眠と適度な運動を心がけで、ストレスを溜めすぎない生活を送るのが理想です。
食事では、ヨーグルトなどを積極的に食べてください。腸内が安定し、便の通りが良くなるので、ニオイが改善していくはずです。